院長メッセージ

僕の美容外科医の原点は、再生医療。 先天的な障害を持つ子どもたちの顔の手術です。
僕の形成外科医としてのスタートは、先天的に顔に障害のある赤ちゃんの治療から始まりました。それは口唇裂・口蓋裂の子供たちの治療です。彼らの多くは、顔の成長が終わる18歳頃まで、最低3回の手術が必要でした。最も難しいのは、顔の骨の生まれつきの欠損とそれによって生じる機能的・整容的な問題を解決することでした。

最初の手術は、生後3ヶ月、体重が6kgしかない頃に行います。足りない部分に骨を移植したくても、そんな赤ちゃんにその材料となる余分な骨などありません。以前は、裂を形成している筋肉の異常な走行や皮膚をキレイに縫合して、自然な唇や口蓋をつくる手術が行われてきました。
骨の欠損部は、体が大きくなって、骨を採取できる10歳頃に行うようにしていたのですが、3ヶ月の時点でできれば、いろいろな点で有利であることが分かってきました。
そんな折、実験レベルで人工の材料と自分の骨になる幹細胞や成長因子を混ぜ合わせて移植すると、移植した場所の骨に置き換わるという骨組織工学の新しい手法が報告されました。その手法を、マウスでの実験で詳細に研究し、医療特許として申請しました。さらに世界で初めて口唇顎裂の骨欠損部の再建に臨床応用したのが、僕でした。上顎に移植された骨は、見事に成着し、上顎の形も正常に、またそこには乳歯・その後に永久歯も萌出し機能的・整容的にも問題なく、10歳の元気な小学生として活動しています。
美容医療は、なりたい自分を実現する医療。 再生医療は、その有効な手段になると思います。
僕の美容外科医としての原点が、先天的な障害を持つ子どもたちの顔の手術だと申しましたが、再生医療の原点もこの子どもたちへの手術です。子どもたちには、長く・できれば楽しく生きてほしいものです。先天的な障害をできるだけ気にせずに、子供たちのQOLがすばらしいものであることを願わずにはいられません。
昔は不可能であったことも、医学の進歩とともに可能になってきた。さらに、詳細に、確実に、いろいろなことができるようになるはずです。美容医療もある意味、病気ではない、自己の願望を実現する医療です。医療である限り、再生医療は、その願望を実現させてくれる有力な手段になるはずです。